ここ最近、水虫に代表されるような真菌症(カビが原因となって起こる症状)の研究が進み、効力の高い薬がたくさん開発されています。
それにも関わらず、日本人の実に4人に1人という非常に高い確率で水虫に感染しているのはどうしてでしょうか。
これに関して私は
・適切な治療を受けている人が少ない
・日常生活でのケアが十分でない
というのが、主な原因であると考えています
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水虫の治療には生活ケアが大切
水虫の治療の終着点であり、目的は、「症状を鎮静化させ健康な皮膚を取り戻すこと」だと考えます。
もう一つ重要なポイントは再発を防ぐことと、他人への感染を予防することです。
そのためには、身の回りに潜む水虫の白癬菌を一掃し、薬による治療と共に生活ケアに取り組むことが重要なポイントとなります。
水虫の人が素足で歩いていた場所を調べると、ほとんどのところで白癬菌が検出されます。
足の裏が直接ふれるスリッパ、バスマット、布団などは白癬菌が特に多い場所です。
自身の水虫をきれいに治し、かつ家族をはじめとした他人に移さないためには薬による治療に加えて日常ケアが欠かせません。
素人療法に手を出すな
水虫治療に対する素人療法や世間に出回るデマともいえるうそ情報は様々あります。
なかにはかえって悪化する可能性を秘めているものまであります。
それでは、どのようなものがあるのか、ザッと見ていきましょう。
・アロエの汁をすりこむ
・足の裏に塩水を塗る
・クレゾールの石けん液に足を浸す
・海水浴に行く
・抗菌作用があるとされる、硫黄の強い温泉に入る
などなど、挙げはじめればきりがありませんが、これら全て、医学的な根拠がありません。
なかには少なからず効果がありそうな項目もあります。
たとえば熱い砂浜を素足で歩くと足の裏はばっちり乾燥するので症状が良くなったと感じる方もいるでしょう。
また、クレゾール石けん液などは殺菌作用もありますし、白癬菌にも効きそうです。
しかしこれらの療法はどれもこれも皮膚に対して過剰な刺激を与えかねません。
患部がヒリヒリするとなんとなく効いているようにも感じてしまうかもしれませんが、これは皮膚が過剰な刺激を受けて危険信号を発しているから起こる反応です。
自分の体のことですから、自力でなんとかしたい、そう考えるのは当然の心理であり、そうした思いからどうしても強めの刺激を追い求めてしまいがちです。
水虫で困った時の大原則は、「とにかく清潔に保ち、いじらない」ことです。
これはあらゆる病気に共通すること。
もちろん個人差はありますし、なかには素人療法で症状が和らいだ人もいるかもしれません。
ただし、そのような不確定な要素に賭けて症状を悪化させていては元も子もありません。なによりも遠回りです。
それよりもずっと簡単なのは、正しい知識のもとに適切な治療を行う。ただそれだけです。
その方がずっと早く水虫は良くなるし、むしろ作業量としては少なくて済みます。
そこで本記事では、日常生活で取り組むべき、水虫に打ち勝つための6原則を紹介していきます。
水虫に打ち勝つ6原則
いずれも基本的なことですが、とても効果のある方法です。
さらに、日常生活の中に簡単に取り入れることのできる再現性の高い方法であるといえます。
これを実践するかどうかで、その後水虫が完治に向かうのか否か、結果は大きく異なってくることでしょう。
第一則 石鹸で患部をよく洗う
第二則 蒸れにくい環境は靴から作る
第三則 薬は広く薄く
第四則 薬は長く塗る、冬こそ治療の絶好のチャンス
第五則 爪水虫は治ってからも治療を継続
第六則 家族に移さない移されない
第一則 石鹸で患部をよく洗う
白癬菌は、皮膚の最も外側の層である「角質層」が大好物です。
この角質層は毎日、皮膚の新陳代謝(肌のターンオーバーともいいます)によってアカとなって少しずつ剥がれ落ちていきます。
すなわち、白癬菌自身もこの新陳代謝によって一定数、肌から離れていくわけです。
ですので、アカをしっかりと毎日洗い落とすことが白癬菌退治につながります。
また、石けんでアカや皮膚の汚れをしっかり洗い落として、その後しっかりと乾かすことによって皮膚の新陳代謝が早まります。
皮膚の表面についてしまった程度の白癬菌であれば、感染する間もなく流れ落ちていきます。
これこそが水虫対策の最大にして最強の予防策ともいえるでしょう。
洗い方は次の通りです
ぬるま湯を足全体にかける
まずは足の表面についている汚れをざっと洗い落としてください。
石けんでしっかりと洗う
石けんをよく泡立てて手に取り、足全体を優しく洗います。
特に指と指の股は汚れがこびり付きやすい所ですので、指を1本1本開いて、ていねいに洗ってください。
乾いたタオルで水気を拭き取る
お風呂から上がったら、乾いたタオルで水分を完全に拭き取りましょう。
よく風呂上りはバスマットで適当に水分をとるだけで終わらせてしまう方もいますが、これでは水分はとりきれません。
皮膚が完全に乾燥したら、外用薬を塗ります。
乾燥させてから塗ることで薬の有効成分が浸透しやすく、効果を最大限高めることができます。
第一則のまとめとしては「足を蒸らさず、いつも清潔に」です。
第二則 蒸れにくい環境は靴から作る
水虫にとって、靴は切っても切り離せないとても重要な影響を与えます。
お察しの通り、通気性の悪い靴であればあるほど、白癬菌にとっては好都合、私たちにとっては不都合になります。
また、「爪に負担をかけない」というのも重要なポイントであり、女性の水虫患者の中には一定数ハイヒールによる影響を受けた方もいると考えられます。
ヒールの高い靴はそれだけ足先に負担を強いる形になりますよね。
すなわち、爪に負担がかかるということ。
爪に負担がかかれば、それだけ爪が弱る、あるいは爪にキズが入りやすくなる、その結果白癬菌に感染しやすくなるのです。
事実、爪水虫を患った女性の中にはハイヒール愛用者がたくさんいるといいます。
ただ、仕事がらどうしても通気性の悪い革靴やハイヒールを履いたまま長時間過ごさなくてはならない方も大勢いらっしゃるでしょう。
そういった方は社内でデスクワークする時だけでもサンダルに履き替えたり、せめて昼休みの間だけでも靴を脱ぎ風にあたったりするだけでも水虫予防になります。
靴の手入れも水虫予防には大切です。
毎日、同じ靴を履いていると靴の中が湿っぽくもなりますし、それが原因で白癬菌の増殖を助ける形にもなってしまいます。
数足の靴をローテーションで使い、その日はかない靴は干しておくなどすれば、ずいぶんと白癬菌の増殖を抑えることができるでしょう。
第三則 薬は広く薄く
水虫治療の基本は外用薬をぬることです
第一則でも説明しましたが、薬を塗る際にはまず綺麗に足を洗うことと、水分を十分に拭き取ることです。
また、薬は患部だけではなくその周りまで広く塗ります。
これは健康な皮膚にまで白癬菌が広がってしまうのを防ぐためです。
さらに、薬は塗れば塗るほど良くなる、というものでもありません。
規定回数以上に薬を塗ることによって、かえって皮膚がダメージをうけてかぶれてしまったり、湿りすぎて不潔な状態を維持することにもなりかねません。
第四則 薬は長く塗る、冬こそ治療の絶好のチャンス
一般的に、水虫の治療を正しく行っていれば、治療をはじめて一か月もすれば症状が軽くなったのを実感できるようになるでしょう。
ただし、これは白癬菌が活動を抑えているだけであって、いなくなったわけではありません。
特に足の皮膚は角質層が厚いため、すべて入れ替わるのに三か月間は必要です。
それでもなお、症状がないにも関わらず白癬菌は角質層内でひっそりと息をひそめていることもあります。
ですので、最低でも半年以上、理想的には1年程度は薬を塗り続けた方が再発リスクを抑えるポイントになります。
さらに、気を付けたいのが冬です。
この季節は低温・乾燥と、白癬菌にとっては活動しにくい時期になるために、水虫の症状がおさまったと感じやすいのです。
もし本当に白癬菌が冬に活動停止するならば、皮膚の新陳代謝によって感染した部分の角質層は冬の間に全て剥がれ落ちるはずです。
それなのに、冬を越し、来るべき夏に向けて準備運動をはじめる白癬菌がいます。
これは白癬菌が冬の間も新陳代謝と同じ位の速度で増殖し続けていることを証明しています。
そうはいっても白癬菌も生き続けるのに必死です。
この季節に薬で治療をされたら白癬菌にとってはひとたまりもありません。
ですので、水虫患者にとっては絶好の治療機会となるわけです。これは白癬菌を根絶やしにするためにもとても重要な考え方となります。
第五則 爪水虫は治ってからも治療を継続
⇒爪水虫に効く市販の外用薬がある!そのメリットデメリットは?
爪の先端がボロボロになっていると、そこばかり気になってしまうでしょう。
しかし、爪が伸びるのはつけ根の部分からです。
また、白癬菌は甘皮の部分や爪のまわりから入り込みます。
そのため、爪白癬の治療の基本は、爪のつけ根の部分と爪の周りの部分に外用薬をしっかり塗り込むことです。
また、爪の変色や変形が気になるからといって、不用意に深爪をしたりヤスリで患部を削ったり、厚くなった部分を楊枝でほじくったりすると健康な爪まで傷つけてしまう可能性があります。
そこから再び白癬菌が入り込むこともあるため、こうした行為は自ら白癬菌にチャンスを与えているようなものです。
足の爪は足の裏の皮膚よりも新陳代謝が遅いため、感染箇所がきれいに入れ替わるまでそれなりの時間を要します。
第四則で薬は長く塗るのが重要と言いましたが、爪水虫の場合は足水虫以上に長い時間、治療を根気よく続ける必要があることを頭に置いておきましょう。
第六則 家族に移さない移されない
水虫は他人に移す危険性の高い皮膚病です。
特に同じ生活環境にある家族にとっては、誰か一人でも水虫菌に感染した人がいると、それは家族全員の水虫リスクとなってしまいます。
というよりも、一人が水虫になっていると、ほとんどの場合、他の家族にも感染者がいると考えた方が良いでしょう。
それぐらい、水虫は感染力の強い皮膚病であるということです。
水虫治療の難しいところはまさにココで、当人がせっかく治ったとしても、家族が白癬菌の温床となることで再感染の可能性がいつまでたってもゼロにならないのです。
再感染を防ぐためには、白癬菌を家の中から金輪際追い出す必要があります。
もしも家族に同じような水虫の症状を訴える人がいる場合は、必ず一緒に治療をはじめるようにしてください。
自分の水虫を治すのはもちろんのこと、家庭内乾癬を防ぐうえで最善の方法は「こまめに掃除をすること」と「できるだけ家族内の共有物を作らないこと」です。
特に白癬菌が増殖しやすい、洗面所や脱衣所、台所などの水回り、トイレなど、湿度が高くカビの繁殖しやすい場所は念入りに掃除するよう心がけましょう。
また、バスマットやバスタオル、スリッパなどを共有しないことも大切です。
まとめ
ここまで、自宅で簡単にできる水虫の撃退法と予防法を説明してきました。
間違った方法でいくら治療を続けていても水虫が良くなることはありません。
また、長期間にわたる水虫治療の最大の敵は、自身の根気にあるといっても過言ではないでしょう。
治療の全ては上記の6原則にある通りです。
あとは、「症状が良くなった」で満足せずに完治を目指して根気よく治療を続けていきましょう。