爪水虫の治療となると、必ずしも頭を悩ませるのが「お薬」の問題です。
特に皮膚科に行って処方される飲み薬には肝機能障害をはじめとした副作用のリスクが伴います。
どんな薬にも副作用があるとはいえ、できることなら安心・安全に治療を進めたいというのが本心でしょう。
さらに、病院で処方される飲み薬の爪水虫への有効率は75%・・・つまり4人に1人は効果が出ないというのが現実です。
「リスクを承知で飲み薬を使っているけど、思ったよりも効き目がない…」
実はこんな悩みを抱えた爪水虫患者はたくさんいるのです。
そこで、薬に頼らない治療法をないか、ということで注目を集めているのが
お灸
です。日本古来から伝わるお灸は世界にも認知されている伝統的な医療行為であり、実は爪水虫の治療にとっても相性が良いと考えられます。
お灸と聞くとあまり馴染みのない人も多いと思いますが、「お灸でも爪水虫が治せる」というのは治療の一つの選択肢になるのではないでしょうか。
また本記事では、実際の爪水虫患者さんに、「お灸治療で症状が改善したという体験記」も寄稿してもらいました。
お灸治療に興味のある方は参考にしてもらえればと思います。
スポンサーリンク目次
お灸治療が爪水虫治療に良い3つのポイント
▽ポイントその1 白癬菌は熱に弱い
白癬菌は60℃の温度に1秒以上さらされるとほぼ死滅するとされています。
もう少し低温の40~50℃程度であっても、長時間さらされることによって白癬菌は死滅するようです。
一方、今回の対戦相手となるお灸は燃焼温度でおよそ百数十℃、肌の表面では60~80℃になります。
もう圧倒的にお灸の勝ちなわけですね。
爪が多少皮膚表面までの熱の伝導をさまたげると考えても、白癬菌と戦うには十分な温度であると考えられます。
▽ポイントその2 治療の痕(あと)が残らない
お灸が敬遠される理由の多くに、「痕が残る」というものがあります。
実はお灸治療を行った患部(皮膚)は、治療後に茶色く変色することがあります。
基本的には時間の経過とともに薄くなっていくのですが、体質によってはうっすらと痕が残ることもあるようです。
しかし、今回の患部は爪です。爪が伸びるのは皆さんもご存じでしょう。
爪水虫によって変色してしまった部位とともにお灸の痕も伸びて消えてしまうのでこの点は全く問題になりません。
▽ポイントその3 患部に直接作用させられる
飲み薬による治療の場合は体全体に薬の作用が行き渡るのに対して、お灸治療の場合は患部に直接作用させることができます。
お灸の熱が患部に巣食う白癬菌を直接死滅させることで、感染範囲の拡大を防ぐことができるのです。
白癬菌さえいなくなってしまえば、きれいな爪が伸びてくれるのを待つだけです。
ただし、よそから新しく白癬菌を持ち込まないように注意することが必要です。
この点においても、お灸治療では燃焼した際に出るタールに含まれる殺菌成分が患部に継続的に作用するため、一定期間は治療効果が継続してくれます。
お灸治療の方法
それでは、実際にお灸治療はどうやって施術されるのでしょうか。
これは想像されている通り、爪水虫の患部上(爪の上)に直接お灸を据える形になります。
患部が複数個所に及ぶ場合は、お灸も複数同時に据えることになるでしょう。
ただし、患部があまりに広範囲に及ぶ場合はお灸での治療は難しいかもしれません。
あくまでお灸治療では、お灸が直接触れている患部にのみ作用するため、爪全体が白癬菌に侵されているような場合には効果は薄いと考えられます。
お灸治療は爪水虫の症状が初期のうちには有効である、ということも知っておいたほうが良いでしょう。
ところでお灸治療ってどこで受けられるの?
一般的に爪水虫になった場合には、病院に行くときは皮膚科を受診します。
ですが、お灸治療を行っている皮膚科は極めて少なく、水虫治療に特化した専門医が稀に取り入れている程度です。
そのため、お灸治療をしようと思ったら鍼灸院(しんきゅういん)に行くのが最も得策でしょう。
できれば鍼灸師が爪水虫治療の知識があるかどうかは事前に確認しておいたほうがいいでしょう。
行ってみた挙句「爪はやったことない…」なんてことになったら不安ですからね。
自宅でもできそう!
いえ、これはやめておきましょう。
お灸は確かに自宅でも簡単にできるものもありますが、爪水虫の治療となるとちょっと特殊です。
特に初めてお灸をする方であれば、右も左も、正しいやり方もやってはいけないポイントも知らない状態でしょう。
爪の表面は特に熱を感じにくいため、気付いたら低温やけどになっていた~なんてことになれば症状がかえって悪化してしまいますからね。
お灸治療で症状が改善したという体験記
実際にお灸で爪水虫の症状が改善したという経験を持つ方に体験記を寄稿してもらいましたので紹介します。
数年前に爪水虫になってしまい、特に痛みがあるわけでもないしあまり気にしていませんでしたが、その後徐々に痒みもでてきて見た目に美しくないし症状がひどくなってきたなと思いクリニックに行ってみたところ、塗り薬や飲み薬を処方してもらえました。
でも薬を塗っても飲んでもあまり改善しなくて、どうしようかなと悩んでいた時に知ったのがお灸で、治せる可能性があるということでした。
薬で無理だったものがお灸で治るわけがないという気持ちもあり半信半疑でしたが、他に頼るものもないしと思い切って鍼灸院に行ってみることにしました。
当初は自分でできるんじゃないかなとも思いましたが、素人が下手に行うと悪化させたり危険も伴うということを知ったのでプロに任せることを決意しました。
当日は少し緊張もしていましたがクリニックに行くよりも気軽に入ることができる雰囲気で、リラックスした中で診てもらうことができました。
みてもらったところ、まだ初期段階なのでお灸で治る可能性が高いと言ってもらえた時にはとても嬉しかったです。
熱いというイメージもあったので不安でしたが、思っていたよりも熱さも気になりませんでした。
ピンポイントで爪の水虫の部分にお灸をしてもらい、これは効果がありそうだなと感じることもできました。
料金もそれほど高いわけではないし(私の場合は水虫になっている爪が1枚だけでしたので、一度の施術で3千円程の負担でした。)、これで治れば本当にありがたいなという気持ちでいっぱいでした。
一度だけ受けただけでもかなり効果はあったなというのが感想ですが、完璧に治すために三回施術を受けに行きました。
以前飲み薬を飲んでいた時には、少しお腹の調子が悪いなと感じることもありましたがお灸ならそういったリスクもないし、気軽に続けることができたので良かったです。
酷くなってきていた痒みも今ではすっかり無くなっているし、他人に移してしまう心配をする必要も無くなったし、素足を見せることにも抵抗がなくなりオシャレをすることが楽しくなりました。
熱いかなという気持ちが最初はあったので、本当に大丈夫かなという不安がありすぐに通うことができませんでしたが、こんなに効果的ならもっと早く通えば良かったなと思っています。
何はともあれ、今では治ったので本当に良かったしこれから先は爪水虫はもちろんのこと水虫にならないように気をつけていきたいです。
でも水虫になっても治す方法があるということを知ることができたので、これで不安に感じることもないなと感謝しています。
まとめ
爪水虫とお灸治療は相性の良いポイントがいくつもあります。
実際に効果があったという声もたくさんあります。
病院での治療に不安を感じる方にとっては、選択肢の一つとして非常に有効な手段であると考えられます。
ただし、本当に自分の爪が爪水虫になのかどうかは、一度だけでも皮膚科に行って確定診断を受けてくることをお勧めします。
実は爪水虫ではなく、お灸で熱を加えることで悪化するような症状であった場合は目も当てられません。
また、患部が広範囲&複数の爪に及ぶ場合にはお灸で治療するのはおススメできません。非効率的です。
お灸治療はあくまで爪水虫が初期症状のうちであれば有効な治療方法であるといえるでしょう。