水虫菌は専門的には白癬菌と呼びます。
また、爪が水虫になることを一般的に爪水虫と言いますが、専門的には爪白癬という病名がついています。
では白癬菌はどのようにして爪の内部へと入り込み、爪白癬を発症してしまうのでしょうか?
まずはご自身の手の爪をじっとご覧になって下さい。
爪そのものは硬くできており、水分を含んでいる様子も特にありませんよね?
高温多湿を好む白癬菌が巣食うにはいささか不都合にも思えます。
実は白癬菌が好んでいるのは爪の下の部分、爪甲下と呼ばれる水分を多く含んだ柔らかい皮膚なのです。
⇒爪水虫の正体はカビ!白癬菌が好む環境と増殖しやすい季節とは?
爪甲下は白癬菌にとって、美味しい食べ物がたくさんある、とても居心地の良い場所ということです。
それではどうやって白癬菌は爪甲下に入り込むのでしょうか?
白癬菌の感染経路別に解説していきます。
スポンサーリンク遠位側方爪甲下型爪真菌症(DLSO)
爪白癬の9割以上は爪の先端から爪甲下に菌が入り込むこのタイプです。
白癬菌は最もガードの緩い・間口の広い箇所である、爪の先端と爪甲下の隙間から侵入するケースがほとんどです。
これを専門的には『遠位側方爪甲下型爪真菌症(DLSO)』いいます。
このタイプの爪白癬では、爪の先端部から白癬菌に侵されて行くため爪先がまずボロボロになって黄色く変色していきます。
その後徐々に侵食範囲を広げていき、爪の厚みも増していくのです。
爪白癬は主に足の爪に感染し易い病気ですが、爪白癬を患った爪の外観はとても醜いものです。
女性であればその見た目が恥ずかしくなり、
プールに遊びに行くことも、
温泉旅行に行くことも、
サンダルを履くことも、
ためらうようになってしまうでしょう。
それが嫌でマニュキアを塗ったり極度な深爪をしたりして誤魔化そうとする女性は多いようです。
ですが、そうすることによって更に傷が入り易くなり、白癬菌はますます感染範囲を広げることになるのです。
近位爪甲下型爪真菌症(PSO)
DLSOタイプと比較すると症例は少ないですが『近位爪甲下型爪真菌症(PSO)』というタイプもあります。
これは爪の付け根、から爪甲下へ白癬菌が入り込むタイプです。
下の画像でいうところの、甘皮(爪上皮)の部分ですね。
このタイプでもやはり侵入した箇所から感染が広がっていくため、まず爪の付け根が濁って爪がボロボロになっていきます。
白色表在型爪真菌症(SWO)
最後に、『白色表在型爪真菌症(SWO)』という珍しいタイプもあります。
このタイプでは、なんと硬い爪の表面から爪甲下に向かって白癬菌が入り込みます。
爪の表面が点々と白くなっていくのが特徴です。
複数の感染経路から発症することも
以上の3つが爪白癬における白癬菌の主な侵入ルートになりますが、場合によっては複数のタイプが同時多発的に発症するケースもあります。
いずれにせよ、正しい治療をせずに放っておくとやがて爪全体が爪白癬に感染し、爪が醜く濁り、厚みを増し、ボロボロになっていきます。
これを『全爪甲型爪真菌症(TDO)』と呼び、症状が進行すると爪の変形が進み、爪が皮膚にのめり込むようになります。
いわゆる巻き爪、ですが症状が悪化するといずれ歩行もできない程の激痛に見舞われることもあります。
まとめ
爪白癬の侵入ルートは下記の3パターンです。
遠位側方爪甲下型爪真菌症(DLSO)
近位爪甲下型爪真菌症(PSO)
白色表在型爪真菌症(SWO)
いずれも侵入を許してしまった部分から感染が進み、放っておくとどんどん感染領域を広げていきます。
また、爪白癬を発症してしまった場合、大概が爪以外の他の箇所にも水虫があると考えられます。
ほとんどの場合、足の指の間や足の裏などで感染していた白癬菌が爪までその感染領域を広げた結果、爪白癬になります。
ですので、爪白癬を完治させるにはその他の水虫も同時に治療することが必須というわけです。