水虫の治療と聞くと、一般的には塗り薬を想像しますよね。
テレビCMなんかでもよく見かけるのは患部に直接作用させるものが多いです。
液体とか軟膏とか、パウダースプレーなんかもありますね。
しかし、爪水虫の治療のために皮膚科を受診すると、一般的には飲み薬を処方されることが多いです。
これは、爪に水虫ができてしまうと通常の塗り薬では有効成分が患部まで浸透することができない、というのが大きな理由です。
ところがここに大きな問題があります。
それは飲み薬特有の「副作用」です。
聞いたことがある方もいるかもしれませんが、爪水虫治療に用いられる飲み薬は実はその副作用が大きいことで有名なんです。
「水虫の治療で飲み薬なんて大丈夫?」
と心配になる方も多いでしょう。
今回は爪水虫の治療薬として用いられる飲み薬の副作用と、飲み薬を使わない治療方法について説明していきます。
スポンサーリンク目次
爪水虫用の飲み薬、副作用ってどんなの?
どんな薬にも副作用はつきものです。こればかりは仕方がないと理解するしかありません。
しかしここで重要なのは「どんな副作用が出るのか?」というのを知っておくことがポイントです。
▽副作用の種類
まず、爪水虫は白癬菌という真菌(カビの一種)が原因で起こるために、治療には抗真菌薬、つまりカビ菌を殺す作用をもった薬が用いられます。
この爪水虫用の抗真菌薬こそが、人体に副作用を与えるわけです。
副作用の例を下に並べます。
・肝機能障害
・胃部不快感や下痢に吐き気
・腹痛や胃部膨満感にめまい
・頭痛に食欲不振
・味覚異常や発疹にかゆみ
・乾癬様発疹や血清病様反応(蕁麻疹や発熱、関節痛)
・紅斑や光線過敏性反応
・顔面浮腫やリンパ節腫脹
・多形紅斑や水疱性皮膚炎
などです。
このように副作用の種類は様々ですが、大きく分けると肝機能や消化器系への影響が主な症状です。
特に肝機能に関しては、自覚症状を感じにくいという非常に厄介な特徴があります。
そのため、飲み薬の処方には必ず医師の診断が必要であり、さらには服用前に血液検査による適正検査を受けることが必須になります。
また、無事に適正が認められたあとも、定期的に通院して血液検査を受ける必要があります。
治療の過程で血液検査の結果に異常が確認されればただちに服用停止、つまりは飲み薬による治療を中止しなくてはなりません。
ただし、副作用が現れたとしてもそれが一生涯続くようなタイプのものではないため必要以上に心配する必要はありません。
ただちに服用を中止さえすれば、もとの健康な状態に戻ることができるでしょう。
▽効果はいかほど?
ところで、
「飲み薬が爪の末端の水虫に効くの?」
「そもそもどうやって爪水虫を治すの?」
と考える方もいるでしょう。
実は、爪水虫治療の飲み薬に含まれる有効成分は胃から吸収され血液中に運ばれて患部のもとへと届けられます。
また、薬の有効成分が爪の中、あるいは角質層に留まることによって、原因菌である白癬菌の増殖を抑えてくれるのです。
効果に関してですが、爪水虫治療における飲み薬の有効率は75%と言われています。
つまり、4人に1人はせっかく飲み薬を服用したのに効果が出ない、ということです。
どんな薬であっても、有効率が100%!万人に必ず効く!というものはありませんが・・・
それにしたって、爪水虫治療における飲み薬の有効率は思った以上に低いな~というのが私の正直な感想ですね。
どんな方が使える?飲んではいけない人とは?
それでは、飲み薬はどんな方が使えるのでしょうか?
また、実は血液検査で問題がなかったとしても、服用が禁止されている方もいます。
これらに関して順に説明していきます。
▽薬を飲めるかどうかは血液検査で判断
まず薬の適正に関してですが、血液検査で判断することになります。
これは水虫の菌をはじめとして、真菌が人間の細胞と構造がよく似ているということが関係します。
すなわち、飲み薬を用いて水虫を撃退しようとすると人間の細胞まで攻撃してしまう恐れがあるということを意味します。
爪水虫の治療は長期間の服用が必要となりますので、定期的に(月に1度ほど)採血を受けなければなりません。
▽飲んではいけない人もいる
実は血液検査の結果によらず、飲み薬を飲んではいけない人もいます。
それは
・妊婦&授乳期間中の女性
・併用禁忌に指定された薬を服用中のかた
です。
▽妊婦&授乳期間中の女性
これは先ほど説明した通り、薬の有効成分が血液中を循環する以上、子供への影響は避けて通れないためです。
いくら母体に影響がなかったとしても、血液から栄養を受け取る胎児や、あるいは母乳によって栄養を受け取る乳児にまで薬が悪影響を与えないとは言い切れないのです。
ですので、妊娠を考えている、あるいは授乳期間中の女性には、爪水虫治療の飲み薬は処方されることがありません。
▽妊婦はNG…では男性は?
こうなると気になるのが、男性はどうなのかという点。
一般的には、男性が服用した薬の影響が、妊婦に悪影響を与える可能性は非常に低いと考えられています。
それでも大切な子供のことですから、心配しすぎても損はありません。
万が一に備えるという意味では、医師に相談してみるのが最善でしょう。
知らないと怖い爪水虫治療の弊害
爪水虫治療の内服薬は、通常であれば医師の処方なしに手に入れることはできません。
そのため、定期的な血液検査に関しては、患者本人の意思とは関係なく、半強制的に受けなければならないので、この点においては健康上の問題はないでしょう。
しかし、爪水虫の治療薬は個人で海外からジェネリック医薬品を輸入することで手に入るというのも事実です。
⇒爪水虫×個人輸入ジェネリック…魅力的な治療費とその大き過ぎる代償
要するに、医師の処方、定期的な血液検査、これらを受けずに、薬を服用し続けることも可能ということを意味します。
完全に自己責任になるとはいえ、その治療費用の安さや手軽さから個人輸入ジェネリックを利用する方は少なくはありません。
この時、体になにも問題がおきなければ良いのですが、なかには重篤な副作用が発症してしまう方もいます。
▽重篤な副作用
実は日本は家の中で靴を脱ぐ文化があるため、湿気が天敵である爪水虫の発症例は、海外に比べると比較的少ないといわれています。
アメリカの爪水虫患者は日本の数倍いるとされており、患者数に比例するように重篤な副作用に悩まされる患者数も相当数いるのが現実です。
死亡事故も度々報告されており、こういった重篤な副作用を懸念して爪水虫の治療には内服薬よりも塗り薬が用いられることが主流になっているようです。
実は、2004年には日本でも死亡事故例が報告されています。
読売新聞2004.1.30『内服用の水虫薬投与の男性死亡』
水虫治療内服薬の副作用で死亡例、厚労省が注意喚起
水虫、たむしなどの内服薬「ラミシール錠」の副作用とみられる肝障害の死亡例があったとして、厚生労働省は29日、販売する日本チバガイギーに対し、医師らに肝機能検査を定期的に行うなどの患者の経過観察を徹底させるよう注意喚起した。
この通り、爪水虫の治療には弊害が伴うということ、取り返しのつかない事態まで起こりえるという事実は知っておいて損はないでしょう。
飲み薬以外の治し方は?
爪水虫の性質上、塗り薬を用いて抗真菌作用を患部まで届けるのは難しいとされています。
いえ、正確には「されていました」。
確かに、かつては硬い爪への浸透力という観点から、塗り薬では爪水虫は治せないというのがセオリーであったようです。
ですが現在ではこの問題は解消されており、浸透力に特化した爪水虫専用の外用薬も販売されています。
まとめ
ここまで説明した通り、内服薬には重篤な副作用が存在しています。
さらには妊婦などのように、もとから内服薬を服用できない方もいます。
しかし、確かに副作用が存在しているとはいえ、事前に行う血液検査などで服用できない条件を確認する仕組みが出来上がっているのは事実です。
また、定期的に血液検査を行うことで副作用のリスクを最小限に抑えることも可能となっています、
有効率が75%しかないという懸念もありますが、副作用なしに爪水虫を完治することができた方がたくさんいるのも事実です。
病院に行くまえから副作用のリスクを恐れて治療を放棄するのが最も良くない選択肢であるのは言うまでもありません。
大切なのは、一刻も早く治療に取り掛かることです。
病院に行くのが嫌、副作用のリスクが怖い、妊娠を考えているから飲み薬は避けたい、そういった方の場合は外用薬という選択肢だってあります。
自身にとって、どれが適した治療法であるかを考えた上で、諦めずにケアに取り組んでいきましょう!