最近テレビなどで生活便利グッズとしてたびたび紹介されている重曹。
あなたのご自宅にも置いてあるのではないでしょうか?
別称は「炭酸水素ナトリウム」といい、基本的には(というか少量であれば)人体には無害であるため、掃除用品としてだけでなく調理用のベーキングパウダーなど、私たちの生活の中で幅広く活用されています。
そんな重曹ですが、「爪水虫の治療にも効果あり!」なんていう噂を聞いたことはありませんか?
爪水虫とは、白癬菌が足の爪にも感染する病気です。
具体的な症状としては、
・爪が分厚くなる
・爪がはがれたりひび割れる
・爪の形がゆがむ
・濁ったり黄色や黒や茶色に変色する
など、まずは外観的な症状が見られます。
放っておくと白癬菌が広がり、複数の爪に症状が感染拡大してしまったり、場合によっては爪が変形し痛みを伴ったり、症状の進行に従ってどんどん治りにくくなっていく厄介な病気です。
そんな爪水虫の治療に、重曹が効くと言われているのは果たして本当なのでしょうか?
スポンサーリンク爪水虫×重曹 効果アリ?
結論からいうと、爪水虫を治療する効果はありません。
そもそも重曹自体には白癬菌を死滅させる力がありません。
よって、爪水虫の治療効果を期待するのは間違いです。
しかし火のないところに煙は立たないとはよく言ったもので・・・どうしてこんな噂が流れてしまったのでしょうか?
重曹が爪水虫に効くと噂された理由は?
これはおそらく、重曹を水に溶かした際に持つ「弱アルカリ性」と「タンパク質を分解する作用」にあると考えられます。
人間の肌は各種の雑菌に対抗するために弱酸性に保たれており、さらに爪の主成分はケラチンという固いたんぱく質でできています。
重曹をペースト状に溶かした水溶液は弱アルカリ性に保たれるため、人体に塗布すれば肌表面を中和する作用があります。
加えてタンパク質を分解する作用によって爪を柔らかくしてくれるため、爪水虫専用の外用薬と組み合わせることによって外用薬の浸透性を補助してくれると考えられたのでしょう。
確かにそういった効果は一定量ですが、あるかもしれません。
しかし、爪の厚みを考えた場合にタンパク質を根こそぎ分解し外用薬の浸透性を補助するほどの力があるとは到底考えられないのです。
仮にそのような力があったとしたならば、よほど大量に、よほど高濃度の重曹を擦りこんだ場合でしょう。
いくら重曹が人体に無害だといっても、過剰に接することがあれば人体は局所的にはアルカリ性に傾くでしょうし、肌へのダメージも必然的に避けられません。
民間療法の危険性
重曹の他にも漂白剤やクエン酸などを使用した民間療法も噂されていますが、既に説明した通り爪は表面が分厚く浸透しにくいので、これらは爪の内部まで浸透することはできません。
また漂白剤なんかにいたっては、そもそも人体に使うものではなく肌にとってかなり有害なものであるといえます。
いずれにせよ爪水虫が治るという化学的な証明もされていないため、病院を受診したり、専門の市販薬を使用することこそが爪水虫を完治させるための最短ルートです。
民間療法、素人判断の危険性についてはこれまで様々な議論がされていますが、爪水虫という治りにくい病気に対して、重曹を擦りこむといったリスクのある行為をとることにどれほどのメリットがあるのか疑問を感じてなりません。
まとめ
様々な民間療法が噂される爪水虫治療ですが、どれもこれも医学的な根拠は薄く、噂の域を出ないものがほとんどです。
そもそも重曹が本当に爪水虫に効果があるというならば、重曹の成分を含んだ薬が開発されて然るべきです。
でもそのような薬は存在していないのです。
また調査した限りでは、爪水虫に対する重曹の効能に関する研究結果や論文も見つけることはできませんでした。
この事実こそが、重曹が爪水虫治療に効果がないといえる裏付けだと考えられないでしょうか?
もしもあなたが爪水虫の症状でお悩みなのであれば、効果が不確かでリスクも伴う民間療法に手を出す前に、一度専門医に相談することを強くおススメします。
病院を受診するのをためらってしまう場合は、自宅で専用の薬を用いて治療することも可能です。
⇒爪水虫を自力で治すことは可能?自宅治療の注意点と正しい治し方の手順
爪水虫治療の外用薬による治療のポイントは、固い爪の内部まで薬がしっかりと作用するかどうか、その「浸透力」にあります。
爪水虫に効果のある市販の外用薬に関しては下記の記事も参考にしてみて下さい。