爪水虫治療のひとつの方法として、感染部位をやすりで削るという治療法を聞いたことはないでしょうか?
当サイトでは爪水虫の治療方法として様々な方法を紹介していますが、
そのなかでも一般的な治療方法として以下の2つ。
「病院で処方される内服薬を用いた治療法」
「市販の外用薬を用いた自宅でできる治療法」
これらに関しては下記記事で詳細に説明しています。
⇒爪水虫治療方法比較!内服薬と塗り薬、それぞれの費用と特徴は?
本記事で検証する「爪削り療法」とは、「塗り薬(外用薬)を用いた治療法」の治療効果を更に高めることができる治療法です。
ここで勘違いしてはいけないポイントがあります。
それは「爪を削ることそれ自体は治療とは無関係である」ということ。
要するに、あくまで爪を削る行為は「薬剤の浸透力を補助する」ことが目的であって、「感染部位を削り取って除去する」ことではないのです。
やすりで削るだけでは感染部位を完全に除去することは不可能であるということを知っておいて下さい。
ですがここで疑問が。
この「爪削り療法」、果たしてどれほどの治療効果があるのか?
そして、一見すると荒っぽい治療法にも感じますが、危険はないのか?
本記事ではこれら気になるところに関して検証していこうと思います。
スポンサーリンク目次
爪削り療法とは?
そもそも爪水虫とはカビの一種である白癬菌が爪の内部に入り込んでそこに住み着き、増殖して起こる病気です。
爪水虫の症状の一つとして、白癬菌に侵された爪が濁り、厚く肥大化するという症状が見られます。
爪削り療法とはその名の通り、白癬菌に侵されて変形した部分をヤスリで削り取り薄く仕上げる方法です。
こうすることによって、これまで薬剤が浸透しにくかった爪内部まで薬の成分を届けやすくするのです。
そもそも、爪水虫に塗り薬が効果がないと言われてきたのはその爪の性質にあります。
爪は硬いタンパク質で作られているため、爪表面に塗り薬をどれだけ塗り込もうとも浸透することが困難なのです。
爪はどうやって削ればいい?
やすりで削って薬を塗る治療方法は実際に病院でも行われていますが、正しい方法・手順・注意点さえ守れば自宅でやることも可能でしょう。
ですが、まずこれだけは意識しておくべき、というポイントがあります。
「爪切り」と「爪削り」は根本的に目的が異なるという点です。
普段から爪切りをわざわざ病院に行ってやってもらう人はいませんよね?
しかし「白癬菌に侵された爪を削る」という行為は、ともすれば人体に危険を及ぼす可能性のある、医療行為ともいえるのです。
普段行う爪切りと同じ要領で爪削りを行うと、予期せぬ二次災害に巻き込まれてしまう恐れがあるということを肝に銘じておきましょう。
爪削りの方法・手順・注意点
まず、爪削り療法に用いるやすりですが、特に気をつかって準備する必要はありません。
爪用のやすりならば100円ショップでも購入できます。
あえてこだわるならば、目が細かく、柄の細い、小回りが効くやすりであればベターでしょう。
まず、厚く肥大化した爪の部分と正常な爪の境界部にマジックなどでマーキングして目印をつけます。
これは、爪の正常な部分まで余計に削り取ってしまうのを防ぐためです。
次に、マーキングした内側の部分、すなわち肥大化した部分を実際にやすりで削っていく。
基本的にはこれだけです。実に単純。
ですが、下に記載する注意点をしっかり頭に入れておいてください。
注意点1
削り取る爪の量は患部の厚みの1/2~2/3程度にしておきましょう。
本来は一度にできるだけ薄くするのが理想なのですが、あまり強く削りすぎると神経を傷つけたり出血などを起こしてしまう可能性があるため、ここは極めて慎重に削ります。
あとは様子を見ながら毎日少しづつでいいので、追加して削っていくようにすればより安全です。
ある程度薄くなったな、と思ったらしばらくは爪を削るのを控えましょう。
しばらく治療を続けていく中で、また厚みが増してきたなと思ったらその都度少しづつ削ってやればOKです。
注意点2
削りおわったやすりはしっかり消毒!
削り終わったあとの削りかすには白癬菌がごっそりと付着しています。
当然、やすり側もこの削りかすと共に白癬菌が付着してしまうので、使い終わったあとは必ず消毒して保管して下さい。
また、家族がいる方はやすりを共用しないように注意して下さい。
白癬菌の感染拡大につながるような行為は、積極的に回避していきましょう。
注意点3
削りカスが飛び散らないよう片づける
よくある事例が、削りカスが健康だった他の足に転移して感染範囲を広げてしまうケースです。
他にも、削りカスが股間に付着していんきんたむしを発症してしまったり、場合によっては手や顔などに転移するケースも報告されています。
できることならば、爪を削っている間はすぐ側に掃除機で吸引させておいて、削りカスが舞い散らないようにするのがより安全です。
爪を削ったあと、患部はどうする?
冒頭でも説明しましたが、爪削りの目的は薬剤の浸透力を補助することです。
したがって、上記の方法で爪を削り薄くした後は患部に爪水虫専用の塗り薬を塗り込みます。
⇒爪水虫に効く市販の外用薬がある!そのメリットデメリットとは?
そしてその部分をしっかり乾燥させます。
湿気があるとカビは活性化するので、できる限り乾燥した状態にしておくことが大切です。
爪削り療法の危険性は?
爪を削ることそのものは、確かに薬を患部に浸透させて有効性を得る治療ではあるのですが、実はこれは危険な行為でもあります。
爪を削ると細かい爪の粉が空気中に散乱したり、前述した通りやすりに付着したりもします。
こうして目に見えないくらい小さくなった、爪の削り取った後の粉はちょっとの動きで容易に空気中に舞い上がり、その結果、体内にスルリと侵入します。
目や鼻の粘膜に付着して体内に取り込まれることもあれば、呼吸を介して取り込まれる可能性もあるでしょう。
身体をキレイに洗ったつもりであっても、洗い残りがあれば感染が拡大することもあります。
他の手や足の爪に爪水虫が発生したり、患者以外の家族などにも感染することがあるのはこのためです。
皮膚に付着して感染するだけであれば市販の薬などで治療できますが、頭や目や鼻の粘膜などに付着して感染し炎症を起こしてしまった場合などは塗り薬を使うことができず治療に困難をきたすことも考えられます。
このように爪を削るのは、その効果の反面、大きな危険性をともなう行為であることを改めて認識しておいてください。
通常の爪切りの方法は?
次に、爪削り療法ではなく通常の爪切りの方法についても説明していきましょう。
爪水虫に感染すると、「なにこの爪の形?」と一目で見てわかるほど異常に変形することもあります。

引用元:爪ネット様
「こんな分厚い爪・・切り方がわからない・・」
さすがにこの画像ほどに爪水虫の症状が悪化してしまっていると爪切りの必要はないかもしれません。爪が脆くなりすぎているため、切るまでもなく崩れていくのです。
ですが、爪水虫の初期であれば、爪の切り方に対して悩みを抱える人も多いと思いますので、下記のポイントを参考にしてください。
point1 爪をふやかす
正しい爪の切り方としては、まずは爪をぬるま湯でふやかすようにしましょう。
白癬菌に感染している場合、爪は非常に脆くなっています。
あまりに症状が進行している場合、爪切りの刃をあてただけで爪がとれてしまう可能性も考えられます。
そのため爪切りの前にお風呂に浸かったり、足湯をしたりして、爪を柔らかくしておくことで爪が崩れることを防ぐことができます。
point2 ニッパーを用いる
爪水虫の症状によって、分厚く変形した爪を着る時には、ニッパーのような爪切りを使って切るようにしましょう。
そんなのどこで売ってるの?と疑問を抱く方もおられるかと思いますが、意外や意外、ニッパー型の爪切りはドラッグストアや通販などで手軽に安く購入することができます。
このとき、爪水虫に感染していない正常な爪までも同じ爪切りで切ることがないように注意してください。
爪水虫は感染症です。ニッパーに残った爪のかけらや爪の粉にも白癬菌が大勢潜んでいるもとの考えましょう。
使い終わったら必ず消毒する、あるいは石けんでよく洗うなど、衛生管理にも十分注意すべきでしょう。
point3 仕上げには「やすり」を使う
そして仕上げとして、紙やすりや金属やすりで、爪の形を整えるようにしましょう。
ここでワンポイントアドバイス。
事前に紙やすりをぬるま湯につけてから使用すると、爪も傷がつきにくく、爪の粉が飛び散ることを防ぐことができます。
爪の上手な切り方としては、爪を伸ばした後に、横にまっすぐに切る「スクエアカット」にしましょう。
多くの方が指の形に添って丸く切る「ラウンドカット」と呼ばれる爪の切り方をしているようですが、実はあまりよくありません。
これは、巻き爪になる可能性を高めてしまうためです。
巻き爪が原因で爪水虫になってしまった、という場合もあるので、切り方にも十分気を付けましょう。
爪切りのあとは
爪切りの後には、切った爪の処理にも注意が必要です。
切った爪や、爪の粉にも白癬菌は付着しています。
そのままにしていると、病原菌を野放しにするようなものです。
白癬菌が周囲に広がってしまう可能性が十分考えられます。
爪切りややすりは使い終わったら消毒をし、家族で共有しないのはもちろん、健康な他の爪には使用しないように気を付けましょう。
一方、切り終わった足の爪に関しては、アルコールやウェットティッシュなどでよく拭き、その後よく乾燥させてから外用薬を塗布するようにしましょう。
爪の切り方まとめ
爪水虫になった爪の切り方のポイントは、
□爪を切る前にやわらかくすること
□ニッパーを用いてスクエアカットすること
□切り終わったあとはよく乾燥させてから薬をぬること
以上の3点です。
また、二次感染を防ぐためにも
□健康な爪とは爪切りを併用しない
□家族と爪切りを共用しない
□切り終えた爪のかけらや粉が飛び散らないように
□爪切りは毎回、十分に消毒して保管する
など、衛生面にも十分に注意を配る必要があります。
爪から離れたあとの白癬菌でも、環境次第ではしぶとく半年~1年近く生き続けることも有り得ますからね。
爪切り同様、やすりも十分に消毒するなど、これ以上感染範囲を広げないように十分注意しましょう!
まとめ
爪削り療法には薬の浸透力を高める効果があるのは間違いありません。
物理的に患部を薄く仕上げることによって薬が浸透しやすくなる、というこの治療方法は極めて合理的です。
爪を削る治療は悪いことではありません。ですが一方で、大きな危険をもたらす可能性のある治療行為だということを十分認識すべきでしょう。
安易な判断で行わず、ちゃんとした医療機関に相談し、できれば病院で行うことが望ましいです。
もしも自宅で治療を行う場合は、手順をしっかり守り、感染予防を十分に施して行う必要があります。
実際に爪水虫は簡単に他の部分へ感染する病気であり、自身以外にも、家族にもうつるケースはよく報告されています。
もしこういったリスクが気になるのであれば、無理に爪削り療法を取り入れる必要はありません。
最近では、爪への浸透力に特化した爪水虫専用の外用薬が市販されています。
こういった浸透力特化型の外用薬を用いれば、爪の厚みはそのまま、やすりで患部を削り取って薄くすることもなく、爪水虫の完治を目指すこともできるようになったのです。
⇒爪水虫を自力で治すことは可能?自宅治療の注意点と正しい治し方の手順
生活スタイルや、爪の健康状態を見ながら、ご自身に合った治療方法を検討してみて下さい。
また、今すぐに爪水虫に特化した治療薬をお探しの方は下記の商品が最もおススメです。
爪水虫を重症化させてしまう前に完治させたいのであれば、是非とも検討してみてください。