爪水虫は治療期間がとても長いため、精神的にも経済的にも患者の負担は相応に重くなります。
そのため、爪水虫を完治させるためのポイントは
・治療にどれくらいの時間がかかるか把握しておくこと
・できるだけ経済的な負担がかからない方法で治療すること
治療意欲を失わないためにも、上記のポイント2点は必ずおさえておく必要があると考えています。
実際に治療を始めるにあたって、知っておきたいポイントをもう少し噛み砕いて説明すると、
①治療期間
②副作用の可能性
③定期的な血液検査が必要な場合もある
④費用
⑤爪のケア方法
⑥治療の有効率
これら6点をあらかじめ理解しておくことが大切です。
それでは順に説明していきます。
スポンサーリンク治療期間
ご存知の通り、病気やケガはその症状によって治療期間は様々です。
例えば同じ「完治1ヶ月」でも、それが「骨折」であればずいぶん短い気がして楽に感じますが、もしもそれが「筋肉痛」であれば長すぎると感じるでしょう。
短いと感じられれば頑張れそうですが、長すぎると感じると最初からやる気がなくなってしまいます。
重要なのはその病気の治療期間の相場・目安を知っておくこと。
まず、爪水虫の治療に要する具体的な期間を把握しておきましょう。
個人差はありますが、爪のサイクル=つまり爪が完全に生え変わるまでには手の爪でおよそ半年、足の爪の場合はおよそ1年~1年半程要します。
全体的な傾向として爪の成長は年をとるほどゆっくりになる傾向がありますので、高齢者ほど爪が生え変わるのが遅くなります。
まず大前提として、爪水虫の治療では一度ボロボロになった爪が治療をしていく途中にきれいになることはありません。
あくまで、新しい爪に完全に生え変わり、かつ爪の下部に白癬菌がいなくなったことで「完治」したといえます。
前述した通り、足の爪水虫だと完治までおよそ1年以上かかるわけです。
これだけの長い間、治療を続けるのにはやはり根気が必要です。
病院に行って医師から
「ではこれから毎日、内服薬を飲んで外用薬を塗り続けて下さい」
といわれても面倒に感じてしまう方も多いでしょう。
爪水虫の場合、病院にかかった際は副作用の問題さえクリアできれば内服薬を処方されるのが通常です。
近年開発されたイトラコナゾールやテルビナフィンなどは菌を殺す力が強く、短期集中して飲めば十分な効果が得られます。
たとえばイトラコナゾールの「パルス療法」は1~2パルス終えると爪の根元から元通りのきれいな爪が生えてくるのを目で確認することができます。
患者からすれば、治療の変化が目に見えて表れるので、期間が長いとはいえ治療を続ける動機を保つこともできるでしょう。
さらに薬の有効成分は長期間にわたって爪に染み込んでいきます
副作用と定期検査
ただし、薬には副作用があります。
飲み合わせの悪い薬と一緒に飲むと、どちらかの薬の副作用が強く出ることもあります。
副作用としては胃腸障害、薬疹、味覚障害、貧血などです。
そのため爪水虫で皮膚科を受診する場合は、服用中の薬を医師に正確に伝えておくことも重要です。
また、治療の開始後は患部の経過観察に加えて、副作用の懸念から定期的な血液検査も必要になります。この点に関しても治療開始前にしっかりと医師に確認しておいた方が良いでしょう。
副作用に関して、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。⇒爪水虫治療の副作用とは?知らないと怖い爪水虫治療の弊害
費用
イトラコナゾールやテルビナフィンなどは爪水虫によく効くものの、副作用の懸念に加えて、費用の面でも患者の負担になることは事前によく知っておく必要があります。
例えばパルス療法では、もろもろ考えると毎月1万5千円ほどの費用が必要になります。
変色も、変形もないきれいな爪を取り戻すことができると考えれば必ずしも高いとばかりはいえませんが、決して安い値段でもありません。
副作用のリスクも考えると、どうしても治療に二の足を踏んでしまう方もいらっしゃるでしょう。
爪のケア方法
これも重要なポイントです。
いくら見た目が悪いからといって、爪の厚くなった部分をつまようじなどでほじくったり、過度に短く切り込んだり、ペディキュアを塗ったりなど爪を傷つける可能性のある行為は厳禁です。
せっかく治療をしていても悪化していってしまうことにもなりかねません。
治療のポイントはとにかく爪を衛生的に保つことです。
また、爪のケアという意味では他人に移さないような配慮も含まれます。
家庭内での感染を防ぐには、爪切りの際に爪の切れ端や粉を飛び散らさないような工夫が必要になります。
必ずしも完全治癒するわけではない
患者にとって最も気にかかるのがこの点ではないでしょうか。
必ず治るとわかっていれば、高いお金を払ってでも治療に前向きになれるかもしれませんが、爪水虫の場合は完全治癒は常に可能というわけではありません。
爪水虫に対する、内服薬のイトラコナゾールやテルビナフィンの有効率は約75%と言われています。
要するに、4人に1人は元通りのきれいな爪に戻らない可能性があるということです。
例えば、長年の爪水虫で重症になっている場合や、ハイヒールなどの外的な要因によって曲がってしまった爪、自分でつついたり削ったりしてボロボロになった爪などは仮に白癬菌が完全にいなくなったとしても昔のようなきれいな爪には戻れません。
これはどんな優れた薬が開発されても同じことです。
ですので、昔と同じピカピカの爪を取り戻すことができるかどうか、事前におおよその可能性を医師に相談しておいてから治療を始めた方が懸命です。
1年以上真面目に治療に取り組んだ後に「白癬菌はいなくなりましたが、見た目はきれいにはなりませんでした」では釈然としないでしょう。
まとめ
ここまで、爪水虫の治療を始める前に知っておきたい重要なポイントについて説明してきました。
・治り易い人と治りにくいひとがいること
・それに伴って治療期間には個人差があること
・短い人でも1年以上の長期間、治療が必要なこと
・治療には相応の根気と、費用が必要であること
・副作用のリスクによって内服薬を服用することができない人もいること
・治療を続けた結果、完全治癒しない可能性もあること
いずれも、事前に把握しておかないと治療を続ける上でモチベーションが途切れる要因になり得ます。
治療を途中でやめてしまえば、当然、完治する可能性はなくなってしまいます。
自分にとってどれくらいの負担が必要になるのか、この点をしっかりと知ったうえで治療を開始してもらいたいと思います。