水虫の原因菌は専門的には「白癬菌」といいます。
白癬菌は真菌、すなわちカビの一種です。
⇒爪水虫の正体はカビ!白癬菌が好む環境と増殖しやすい季節とは?
白癬菌はケラチンがあり、高温多湿な環境が整えばどこにでも寄生します。
すわわち、水虫は体中のいたるところにできる可能性があります。
ただし、原因菌は同じであっても、寄生した部位によって症状が異なり、それにともなって治療法も異なります。
本記事では白癬菌が寄生しやすい体の部位と正式な病名を簡単に説明していきます。
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水虫の王道『趾間びらん型足白癬』
趾間びらん型白癬は水虫患者の半数以上を占める、いわゆる王道パターンです。
足の指と指の間に発症するのが特徴で、特に足の薬指と小指の間によくできます。
なにを隠そう、私も数年前にこの趾間びらん型白癬に感染した経験者です。
しかも薬指と小指の間、という王道中の王道。
当時は『まさかこれが水虫・・!?』と震えた記憶があります。
軽いじゅくじゅくと軽いかゆみに始まり、現実を受け止めたくなくて2〜3日放っておいたら、とてつもないかゆみと痛みに襲われて急いで病院に行きましたね・・・。
歩くだけで痛かったですしね。
たかが水虫、なんて舐めてちゃいかんですよ。
で、具体的な症状と見た目の特徴ですが、まず患部の皮膚がふやけたように白くにごってきます。そして、指の股の部分の皮が破けて、更にふやけた部分もだんだんと広がっていきます。
冬は症状がおさまり易いとよく言われがちですが、私の場合は真冬に発症しました。
冬だから安心、ということはないので気を付けましょう。
症状のタイプには、上で述べたように水疱やただれができる湿潤型と、赤い斑点ができて皮膚がカサカサになる乾燥型の2つがあります。
また、かゆみが強いのも特徴です。
水虫の典型『小水疱型足白癬』
次に、水虫が「水虫」と称されるゆえんとなった小水疱型足白癬について説明します。
症状としては、虫刺されのような水疱が足の裏にポツポツとできます。
水虫という名前はこの症状からきているわけですね。
患部としては、土踏まずや足の側面、足の裏の指先近く、などが多くこの部分に水疱がワラワラと寄り集まったりバラバラと散らばったりしているのが特徴です。
水疱の大きさは始めは大小様々ですが、やがて一定の大きさに揃っていきます。幾つかの水疱が寄り集まった結果、一つの大きめな水疱になることもあります。
足の裏は皮膚が厚いので水疱が破れにくく、中の水が出にくいため乾燥しきるのに時間がかかります。
とはいってもいずれ自然に治るわけですが、一つの水疱がやっと消えたかと思うとすぐ別の水疱ができるのが小水疱型足白癬の特徴です。
何も治療しなければどんどんと発症の範囲が広がって行き、かゆみは激しく、とにかく辛いというのがこのタイプの水虫です。
また、症状があせもやかぶれに似ているため素人判断で間違った治療をすると症状がますます悪化します。
皮膚がカサカサに『角質増殖型足白癬』
世の中の多くの人が考える水虫のイメージは、水疱ができたり、皮がむけてジュクジュクしたり、それに加えて強烈にかゆい、そういったものでしょう。
そのため、足の裏がカサカサしているからといって、これは水虫だと考える人は多くはいないでしょう。
ですが、角質増殖型足白癬の症状はまさに、「水虫の裏をいく」イメージであり、その症状の特徴は、
足の裏がカサカサになって、シワが深くなり、白い粉がふいたようになる
症状が進行すると、硬くなった皮膚が厚くなりそこから細かな皮がむける
かかとなど角質が厚い部分を中心に広がる
患部が乾燥してひびが割れ、歩くだけで痛むこともある
このように、一般に浸透しているイメージとは大きく異なります。
また、加齢による見た目の特徴ともよく似ているため、特に高齢者は年のせいと考えているようです。
さらにこのタイプの水虫はかゆみもほとんどなくしかも季節に関係なく一年中症状がさほど変化しません。
これも水虫と気付かれにくい一因です。
このような理由から角質増殖型の水虫は一般的なイメージとはかけ離れた最も「水虫らしくない水虫」といえるでしょう。
この型の水虫は例えていうならば水虫の終着点です。
水虫が慢性化し、菌が自身の皮膚と仲良くなってしまい、免疫機能が働いていない状態なのです。そのため、かゆみや水疱などの諸症状が表面化しません。
また、角質増殖型は他人に移す危険性が最も高い水虫です。
室内を素足で歩くことによって、多くの白癬菌を含んだ角質層がポロポロと床に落ちていきます。
ただ歩くだけで菌をばらまくことになるわけですから、他人に移さないためには十分な対策が必要です。
角質増殖型は水虫と気付きにくいために悪化させやすく、さらに他人にも感染を広げやすいという、非常に厄介な水虫です。
患部によって病名は変わる
ここまで説明した通り、足白癬には大きく分けて3つの型があります。
土踏まずや足の側面にできる小水疱型、足の指と指の間にできる趾間びらん型、かかとにできる角質増殖型。
しかし冒頭で説明した通り、一定の条件さえ満たしてしまえば白癬菌はどこにだって寄生します。
水虫=足の皮膚にできる、というイメージがありますがそれは正しくありません。体中いたるところに白癬菌は棲みつくことができます。
いやむしろ体にこだわる理由もありません。その辺りの床だって条件次第では白癬菌の温床になり得るのです。
事実、他人に移すという観点で考えた時には、こういった体以外の場所が感染源となり他人に移るケースがほとんどです。
爪がボロボロ『爪白癬』
白癬菌が爪の下に入り込んで発症するのが爪白癬、つまり爪の水虫です。
爪白癬になると初期症状としては爪の先端や両側が白くにごったり、爪の中に白い筋が現れたりします。
最初は爪がなんだかおかしいな?と感じる程度で、かゆみや痛みを伴わないために水虫とは気付きにくいのが厄介な病気です。
また、水虫は女性よりも男性の方が罹患率が高いとされていますが、爪白癬に関しては女性の方がなりやすいというデータがあるのも特徴的です。
⇒爪水虫は女性の方がなりやすい?女性の3人に1人が爪水虫の真相!
手白癬
足にできた水虫が手に移ったとき、これを手白癬とよびます。
特に角質増殖型足白癬の患者のうち5%〜10%程度は手にも同じ症状が現れます。
これを角質増殖型手白癬とよびます。
水虫を患った足を手でかいたことが原因で起こります。
その症状は角質増殖型足白癬と同じで、よく手荒れと間違われます。
これには注意が必要で、手荒れと考えてステロイド入りのクリームなんかを塗り続けると、かえって菌が元気になり症状が悪化することもあります。
体部白癬
足の水虫をかいた手で、体の他の部分をかいたりすると今度はその部分にも白癬菌が移ることがあります。
そしてかゆみを伴う皮膚炎を引き起こします。
この皮膚炎のうち、股にできるものを股部白癬とよび、股以外にできるものを体部白癬とよびます。
初めは湿疹のようなものがぽつんと一つでき、とてもかゆくなります。
症状が進むと湿疹の範囲が広がり、数も増えていくのが特徴です。
股部白癬
このタイプには別称があり、一般的な呼び名はインキンタムシです。
症状としては体部白癬とほとんど変わりありません。非常にかゆみが強いために睡眠中無意識にかきくずして症状が悪化するケースも多々あります。
股部白癬は男性に多く、一般的には男性特有の病気と思われているようです。
陰嚢のあたりは特に蒸れやすく、確かにこの周辺は白癬菌が増殖し易い環境にあるからです。
ただし陰嚢そのものは股部白癬にはなりません。
この部分には抗菌力の強い特別な脂肪酸があるからと考えられています。
なんというか、さすが、ですね。
ところで近年は股部白癬になる女性が増えているようです。
原因は通気性の悪い下着です。
股だけでなくお尻まで症状が広がるケースも珍しくないようです。
この病気は女性にとって足水虫以上にショックでしょう。
男性がなる病気、不潔にするとなる病気、という印象があまりに強いからでしょうか。
しかし恥ずかしがって治療が遅れれば症状は悪化する一方です。
色素沈着を起こして跡が残ることもあるために早め早めの治療が必須といえます。