足の爪を切っていて、
『あれ…今変な臭いがしたけど…』
なんて経験ありませんか?
一度気が付くと、それからずっと気になってしまいますよね。
親指の爪なんか特にもう…。
もしかしてこれが爪水虫なんじゃないだろうか?
そんな風に不安に思ったりもするでしょう。
そこで本記事では、その臭いの原因と爪水虫との関係、さらに臭いの解消法と、くさい水虫の治療法に関して説明していこうと思います。
スポンサーリンク足の爪が臭う…その原因とは
さてその臭いの原因ですが、ほぼ爪水虫とは関係ありません。逆に言うと、爪水虫になったからといって爪の臭いがきつくなる、といったことはありません。
つまり、臭いで爪水虫か否かを見極めることはできないということです。
ただし、足の爪が臭いのなんて普通です。
正直、ほとんどみんな臭いですよ。人間の基本設定だと思って下さい。
ではこのにおいの元はなにか?
臭いの原因は、垢(あか)です。
正確には、「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」という脂肪酸がにおいの原因です。
足の爪の中には、靴下のくずや、ホコリや、古くなった角質などいろんな物が挟まっています。
さらに爪に限らず足の裏は汗をかきやすく、靴下や靴によって湿気がこもりやすいため、このジメジメした湿気が大好きな細菌が繁殖しやすい環境なんですね。
世の中の認識では「汗=くさい」、「おじさんの汗=超くさい」というのが常識となっていますが、実は汗自身はその99%が水分であるため、ほとんど無臭なんです。
にも関わらず汗がくさいと感じるのは、実は腐敗性の細菌が汗をかいた場所にうじゃうじゃと集まってきているからです。
新品のTシャツだと汗をかいてもそんなに臭わないのに、使い古した肌着だと汗が臭う、なんてことは経験ありませんか?
これは洗濯で取りきれなかった、服の繊維に残った細菌が関係しているのです。
足の爪が臭うのはこのように湿気が大好きな細菌が活性化して、古くなった角質や垢を分解し「イソ吉草酸」を発生させることが原因です。
ここで圧倒的に余談ですが、実はイソ吉草酸をエステル化すると、リンゴの匂いになるって知ってましたか?
エステル化とは、簡単にいうと脂肪族と芳香族のパイプ役のようなものです。
イソ吉草酸とアルコールを濃硫酸を触媒にして反応させると、イソ吉草酸エチルという物質に変化します。
イソ吉草酸エチルはリンゴのような芳香を持ち、イチゴやパイナップルなどの果実にも含まれます。
信じられない話ですが、足の臭さとリンゴの香りは紙一重なんですね。
もう一度言いますがエステル化には濃硫酸が必要です。足の爪の臭いを消したいからといってこの反応を足の爪に用いるのは危険ですので絶対にやめて下さい。
足の爪のにおいをなんとかしたい
復習になりますが、足の爪がにおうその原因はイソ吉草酸です。
そしてこのにおいは「垢がある」 × 「ジメジメした環境」 これらが揃うと細菌類が繁殖してもたらされます。
ですので、足の爪のにおいを抑えたい場合は、
・足の垢をためないようにする
・足を乾燥させる
この2点を意識すれば改善できます。
足の垢をためないようにする
まず足の垢をためないようにするには、お風呂で足を洗うときに爪ブラシを使って爪の中までしっかりと洗うことを実践してみてください。
これだけでもだいぶ効果が出るはずです。
ちなみに、爪ブラシは100円ショップでも簡単に手に入ります。
加えて、足の爪を伸ばさないようにこまめに切るなどすれば、より垢がたまりにくくなるでしょう。
あとはやっぱり普段からとにかく足を清潔に保つことですね。
足を乾燥させる
これはシンプルなやり方しかありません。
靴はブーツのような気密性の高いものはできるだけ避けるとか、休憩時間は靴を脱ぐとか、原始的な方法ですがそれが一番効果があります。
靴下もできるだけ通気性の良い素材のものを選んだり、家の中では裸足で過ごすなど、普段のライフスタイルにちょっとひと工夫入れるだけで、足の蒸れ具合は改善できます。
臭くなりやすい水虫
足の爪に限らず、足のにおいに悩む方も多いでしょう。
そして、足のにおいは先ほど説明したイソ吉草酸だけではなく水虫によってもたらされる悪臭である場合もあります。
水虫の人の中には、たまらなく嫌なにおいにウンザリしている人もいるでしょう。
水虫の原因は白癬菌ですが、実は白癬菌そのものには悪臭をもたらす作用はありません。
白癬菌は角質層にあるケラチンという成分が大好物です。
そのため白癬菌に感染すると、ふだんは皮膚を厚く覆っている足の裏の角質層が破られてしまいます。
すると、それに抵抗しようとする免疫機能によって、皮膚の内部からリンパ液がでてきます。
この時、リンパ液と汗は、角質を湿らせて柔らかくし、その結果ブドウ球菌などの細菌類の侵入を許してしまいます。
健康な皮膚であればみっしりとした角質層がバリアとなって、このような腐敗性の細菌からガードできていたわけです。
そうして侵入してしまった細菌類は皮膚に簡単に寄生し、増殖を繰り返す。その結果、いやな匂いが発生するのです。
特に趾間びらん型足白癬の人は臭くなりやすい傾向があります。
指と指の股がくっついた状態のため乾燥が進まず、細菌類がこぞって付着するためです。
他にも角質が厚くなりふやける『掌蹠角化症』の人や、元々足に汗をかきやすい人も強烈な悪臭に悩まされることが多いでしょう。
足の皮膚の深いところにある汗腺で細菌類が繁殖して悪臭を発すると同時に、靴の中にいるとジメジメがピークに達しそのにおいが一層増すというわけです。
臭いを消すためには
では水虫の人がにおいを消すためにはどうすれば良いのでしょうか?
これには何よりも足を乾燥させることが大切です。
とはいえ、水虫を治さない限り内部からリンパ液が溢れ出るのを抑えられません。
そのため、においを抑える1番の有効策は水虫をちゃんと治療することです。
また基本的なことですが、患部をいつも清潔に保つことも重要です。
よく泡立てた石けんで患部をよく洗い、その後お湯でしっかりと洗い流します。
毎日のお風呂で足の指一本一本をていねいに洗うだけでも、細菌類の付着をずいぶんと阻むことができるでしょう。
また、赤みが強いときや汚れがひどいときには、亜鉛華軟膏をガーゼに厚く塗り、これを指と指の股に挟んでください。
ガーゼは毎日交換します。
こうすると必要以上に患部を刺激することなく、患部を保護することができるため、リンパ液の分泌を抑えることができます。
これを一週間も繰り返せばそれだけで、患部のにおいをずいぶんと和らげることができるでしょう。
また、水虫薬の中には白癬菌に直接作用するのに加えて、他の細菌類の活動を抑える作用が含まれているものもあります。
まとめ
おさらいですが、足の爪がくさい原因は、爪の中に挟まった垢にあります。
「垢がある」 × 「ジメジメした環境」
この条件が揃うと、細菌類が繁殖しやすくなります。垢がたまりやすく、蒸れやすい、足の爪はまさにこれらの条件が揃っておりくさくなりやすい環境にあるといえます。
そして細菌は垢をえさとして取り込み、分解するときに「イソ吉草酸」という脂肪酸を発生させるのですが、このイソ吉草酸が強烈にくさいというわけです。
爪がくさかったとしても、爪の見た目が正常であれば、ほぼ爪水虫であるとは考えられません。
爪水虫の症状は、においよりも見た目の変化で気付くケースが多いですから。
ただし、足の爪に限らず「足が臭う状況」というのは、すなわち「水虫菌がよろこぶ状況」であることを忘れないようにしましょう。
足が臭うな~とお悩みの方の中には、先ほど説明したイソ吉草酸による悪臭に加えて、水虫が原因の悪臭も併発している可能性があることを忘れないようにしましょう。